BEST 2025

昨年に続き、再びこの枠にエントリーさせてもらった。

去年は、古い建物を解体し、仮設の事務所と住まいが入り混じる混沌の中で

BEST2024のレコードを選んでいたことをよく覚えている。

レコードのある引っ越しは、人生でいったい何度目だろう?


体力は確かに衰えていくのに、レコードは確実に増えていく。

当然、今回の引っ越しが一番しんどかった。


そんな一年の終わりに、今年はレコードだけではなく、

いくつかの“今年のベスト”を静かに綴ってみようと思う。

今年は例年になく“和物”をよく手に取った一年だった。

手に入れた盤の中から、特に印象が強かった何枚かを、

小さな備忘としてここに残しておく。

FIRST LP

音楽を「所有する」「手に入れる」という感覚が薄れた世代に、一石を投じたい。

今年に入り、中学2年の娘にアナログレコードを買っている。

RADWIMPS、マカロニえんぴつ、さとうもか(娘の好きなアーティスト)。

スマートフォンさえあれば聴ける時代に、針を落とすという一手間を娘がどう受けとめるのか、親として少し楽しみにしている。



BEST LIVE

今年は久しぶりにライブの主催もした。

YOSSY LITTLE NOISE WEAVERのニューアルバムに合わせたツアー、しかもその“うったて”となる初日。

いつも以上にプレッシャーを感じながら準備を進めていたところ、ライブ当日になって、会場(2F)の真下のアーケードで阿波踊りの練習があることが判明した。

騒音の心配が一気に現実味を帯び、関係者全員が緊張するなか、ビルのオーナーのご厚意で、上階のイベントスペースを急遽使用できることに。

結果として音響環境も整い、なんとか理想に近い形でライブを開催することができた。



阿波の踊り子

徳島を拠点とするバンド、blend house。 昨年、自主制作の7inchを先輩の店で手に取ったときから、ずっと気になっている存在。 地方都市・徳島の湿度をまといつつ、アーバンでメロウな響きがある。


そんな彼らの1st ep 12inchが発売された。


BEST RETREAT

初夏から妻の体調に異変があり、

YLNWのライブの一週間後、

月末に甲状腺全摘手術を受けた。

経過は安定し、お盆の終盤に休養を兼ねて、

妻と娘二人で京都へ向かった。

一泊ではかえって疲れと緊張が抜けない気がして、

梅小路の花伝抄に二泊三日。

特別な予定は組まず、ただ回復の速度に合わせる滞在とした。

花伝抄は旅館の趣を残しつつ、機能はホテルに近い。

全館、廊下まで畳敷きで、靴を脱いだ瞬間にふっと肩が落ちる。

大浴場に加えて貸切風呂が複数、部屋のつくりも丁寧で、真横には梅小路駅。

京都駅エリアとしては良心的な価格帯。

ここ数年の京都滞在はほとんどここでお世話になっている。

そのせいか、玄関で靴を脱ぐだけで「帰ってきた」と思える。

今回も、選んでよかった。

妻も元気になりました。

LP再発ラッシュ

今年は、ハナレグミのLPが過去作を含めて6枚も発売された。

先行して最新作のGOOD DAY、日々のあわ、音タイムの3枚を購入。

このアドベントの記事を書くために、タワレコの購入履歴を確認しようとしたところ、

後発の3枚が出ていたことに気づき、思わず頭を抱えた。(購入済み)

LP 5,000円、12inch 3,000円、7inch 2,500円、

先日発売された宇多田ヒカルの12inchなどは 4,400円という時代。

娘が好きな RADWIMPS の、5ヶ月連続での過去作 LP 化も同じで、

ファンにとってはたまらない企画かもしれんが、

財布にとっても“なかなかたまらん”企画だったりする。



BEST TRIP

佐賀インターナショナルバルーンフェスティバルへ行ってきた。

昨年は台風の影響で会場が冠水し、

全日程がキャンセルとなった。

一年前から計画し、宿を押さえ、

天気の週間予報を見ながら微妙だなと思いつつ、

前日の深夜に天気予報を見つつ佐賀へ向けて出発した。

道中、予報は曇りから小雨へ、小雨から雨へと変わっていく。

夜明け前に九州へ上陸し、

佐賀県へ入る頃には本降りになっていた。

YouTubeのライブ配信では「風さえなければ開催の可能性あり」と

淡い期待を持たせてくれたものの、

午前のフライトはキャンセル。

誰もが午後のフライトも無理だろうと思っていた。

しかし、奇跡的に午後は開催。

しかも、諦めて帰った人が多かったのか、

会場は驚くほど混雑がなく、

静かにフライトを観戦できた。

今年の旅の中でも、特別な時間だった。


BEST SAKE

佐賀駅の中にある SAGA BAR で、

おつまみセットと日本酒の飲み比べを頼んだ。

さすが筑紫平野の米どころと言われるだけあって、

どれもめちゃんこ美味かった。

特に 七田 は、今年飲んだ日本酒の中でも

ピカイチの美味さだった。


DETERMINATIONS

今年は DETERMINATIONS (2004年に解散)の新譜が発売された。

TEN STEPS AHEAD / Prince Buster with DETERMINATIONS

すでに鬼籍に入られたメンバーもいて、オリジナルメンバーでの再結成はもう叶わない。

巽朗 / Akira Tatsumi on Instagram: "※すみません、巽朗じゃなく妻の里美が書いてます。今日FBにも投稿しましたが利用していない方もいると思うのでこちらにも。 *This

571 likes, 35 comments - tatsumiakira on December 13, 2023: "※すみません、巽朗じゃなく妻の里美が書いてます。今日FBにも投稿しましたが利用していない方もいると思うのでこちらにも。 *This post was written by Akira’s wife, @satomi_stormy ------ ご報告とお礼 巽朗は2023年10月27日に、51歳で永眠しました。 10月20日、突然の病に倒れ、心臓は一週間がんばりましたが、脳に負ったダメージはどうすることもできず、意識の戻らないまま天国に旅立ちました。 生前、彼の心に寄り添ってくれたみなさん、彼の生み出した音楽や製品を愛してくれたみなさん、ありがとうございました。 彼の脳はワクワクすることが大好きで、つねにアイディアがいっぱい詰まっていて、ときに産みの苦しみと闘い、いくつもの眠れぬ夜を過ごしてきました。いまはただ、彼が安らかに永遠の休息についていることを願います。あまりの出来事に、娘と日常を生きるのに精一杯で、ご報告が遅くなったことをお許しください。本来なら、みなさんひとりひとりに直接お伝えしたいのに、このような形のご報告になってしまい申し訳ありません。 なお葬儀はすでに親族でとりおこないました。遺骨の一部は奈良にある巽家のお墓に入りますが、散骨も考えており、来年の彼の誕生日である6月16日頃、太平洋の海に還されることになりそうです。 巽里美 ------- Many Thanks Akira Tatsumi passed away on October 27, 2023, at the age of 51. He collapsed with an illness on October 20, and although his heart had been fighting to live for a week, the damage to his brain was critical, and he passed away without regaining consciousness. Thank you so much to everyone who empathized with his sensitive soul

Instagram

それでも、まさかの新譜というサプライズには思わず狂喜した。

ドラべの林さんがバスターとの馴れ初めについてSNSにポストしているのが面白いので読んでほしい。


林 正也 on Instagram: "Ten Steps Ahead 2003年、バスターの来日公演をデタミネーションズがサポートしてくれたおかげで実現したスーパーセッション。 最初は、ベースのシ

395 likes, 6 comments - hayashi_masaya on March 1, 2025: "Ten Steps Ahead 2003年、バスターの来日公演をデタミネーションズがサポートしてくれたおかげで実現したスーパーセッション。 最初は、ベースのシゲル君に「ミリー・スモールとライブやりたい」って言われて、トミーがロンドンのDuke Vinを紹介してくれた。それで、デュークがミリーに電話してくれたんだけど、「ごめん。『マイ・ボーイ・ロリポップ』でワールドヒット飛ばしたけど、そのお金、マネージャーに全部持ち逃げされちゃったの。音楽業界に絶望して、それ以来歌うのをやめたの」って言われてしまった。 がっかりして電話を切ったら、デュークが「Masa, don’t worry. Prince Buster coming next week. If you’re interested, you can meet him here.(マサ、心配するな。プリンス・バスターが来週来るから、会いたかったらここに来い)」と言ってくれて、翌週バスターに会うことになった。 黒い革のトレンチコートを着て現れたバスター。プレッシャーがすごくて、ビリビリきた。日本公演のオファーをしたら、信じられない額のギャラを要求されて、そこから2時間粘って交渉。なんとか現実的な金額まで落ち着いた。 日本公演では、ユニバーサルミュージックがスペースシャワーTVの録画も用意してくれてたのに、バスターが「契約書に書いてないことはしない。キャンセルしろ」と言い出して、泣く泣くキャンセル。ユニバーサルには「マジで?」って驚かれた。 そして、デタミネーションズと初顔合わせのリハーサル。1曲目からめちゃくちゃいい感じ。でも、バスターは無言。何も言わずに、メンバーの顔すれすれ5cmくらいまで近づいて、じーっと聴いてた。そして曲が終わった瞬間、「Masa, Determinations is a wicked band!!(マサ、デタミネーションズは最高のバンドだ!)」って言って、そこからはめっちゃ上機嫌。「Masa, MTV呼べ。デタミネーションズがカッコいいから」って言われたけど、もうキャンセルした後でどうしようもなかった……。 仕方ないから、コダマレコードのドカや友人にハンディカムを持たせて撮影。

Instagram

なんと 7inch の BOX SET まで販売された。

しかし、躊躇している間にあっという間に SOLD OUT。

迷った理由は単純で、

2nd Single Morning Lover 以外はすべてオリジナルで手元にあるから。

とはいえ、後悔先に立たずで終わるのはまだ早い。

年始のイベントで限定販売があるらしく、

久しぶりに大阪のイベントへいくつもり。

まだ手に入れていないし、

オリジナルでコンプリート目前の身としては

手放しで喜べず、今年のベストとは言い難いが、やはりベストだと思う。


EGO WRAPPIN'

年末といえば Midnight Dejavu。

しかし今年から、大阪のユニバースでは開催されなくなってしまった。

イベント自体は別会場で続くのだけれど、

なんなんだろうか、この喪失感は?

アルバムのリリースこそなかったものの、

12inch が 2 枚、7inch が 1 枚発売された。

中でも、7inch の SUNNY SIDE STEADY。

裏面は Prince Fatty の DUB。


NEW FAMILY(SAGAWA)


ある朝、うちの庭に黒猫の赤ちゃんが突然あらわれた。

おそらく捨て猫だろう。

細い町道に面したうちの広い土地に、置いていかれたのだと思う。

家の中で飼うつもりはまったくなく、

夜はエコキュートの下で眠っていたので、

餌だけあげる“外猫”のつもりでいた。

しかし娘たちが名前をつけたり、近くに寄ってくるようになったり、

そんな中で風邪をひいて体調を崩し始めた。

病院へ連れて行き、家の中で看病し、

気づけば“外猫”からそっとフェードインして、今ここにいる。

当初は勝手に男の子だと思い込み、

次女が「ヤマト」と名付けたのだが、

すぐに女の子だとわかり、名前は「SAGAWA」に改名された。

姓はサガワ、名はミッシェル。

新しい家族が誕生した。

同時期、注文していた TRUCK FURNITURE のソファが

ようやく我が家に搬入されたばかりで、

太畝のコーデュロイの生地をカリカリされるのではと、

いまも少しだけビビっている。


2025

全盛期には程遠いけれど、今年もいろいろとレコードを買った。

DETERMINATIONS の元メンバー、イッチーさん・ヨッシーさん夫妻の

YOSSY LITTLE NOISE WEAVER のライブを主催し(SUN AND RAINぶり)、

DETERMINATIONS と Prince Buster の共演 7inch がリリースされ、

さらには 7inch Box Set まで発売された。

Ska Flames も 7inch を 5 枚リリースすると発表し、

なんだか、あの熱狂していた時代に

そっと区切りがついたような気持ちになった。

そんなタイミングで、

EGO WRAPPIN' は Prince Fatty の DUB をリリースし、

今もなお刺激をくれる存在でいてくれる。

妻の病気のこと、裏山の山林火災のこと、

車で九州へ、東京や名古屋へも旅をしたこと、

そしてサガワがやってきたこと。

いろいろあった一年だったけれど、

振り返れば小さな出来事が静かに寄り添い合い、

今年も穏やかに、良い一年として暮れてゆきそう。

明日はsho-1-roさんです。

2025 Advent Calendar 2025 - Adventar

![2025AC2025 title image](https://i.gyazo.com/b1c9ba081e3c70132fc29e2a84949fd9.png) # 「なんでもいいから、とにかく書けばいい」 > その様子を見て、アルベルト・ジャコメッティが声をかけた「ひどく気難しい顔をしているじゃないか」。ボーヴォワールが答える。「書きたいのに、なにを書けばいいかわからないのよ」。ジャコメッティにとってはしょせん他人事だ。「なんでもいいから、とにかく書けばいい」。ボーヴォワールはその言葉どおりにした。 via [サラ・ベイクウェル『実存主義者のカフェにて』第9章「人生の研究 ―― 実存主義を人間の生きかたに応用する」p.301](https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784314012041) [#1](https://copyanddestroy.hatenablog.com/entry/2024/08/26/104809#%E8%AA%AD%E4%BA%86%E3%81%A8%E7%A9%8D%E8%AA%AD) [#2](https://copyanddestroy.hatenablog.com/entry/2024/08/23/134743) [#3](https://copyanddestroy.hatenablog.com/entry/2024/08/27/180726) [#4](https://copyanddestroy.hatenablog.com/entry/2024/08/29/155714) ### あなたの ベスト・オブ・2025 教えてください ルールは簡単! そこに url があるならば、それを貼るだけ。 本年の様子です: * [#2025AC2025](https://x.com/search?q=2025AC2025&src=typed_query&f=live) * [2025AC2025 断片集](https://scrapbox.io/taizooo/2025AC2025_%E6%96%AD%E7%89%87%E9%9B%86) 以前の様子です: * [2024AC2024](https://adventar.org/calendars/10478) | [2023A

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